データ基盤・AI活用

複数ECのデータを統合し、AIで数字を確かめる会議へ

販路ごとに分かれていた受注・アクセスデータを集約し、生成AIと接続。食品製造・EC事業者のデータ基盤づくりから、会議や広告運用で使うための研修まで支援しました。

業種
食品の製造・販売
体制・規模
従業員十数名。自社ECと複数のモールで販売
支援期間
2025年7月開始(掲載内容は2026年1月時点)

社名・担当者名は非公開です。テルツ株式会社設立以前に、カボシア株式会社としてパートナー企業と共同で取り組んだ事例です。データ活用の設計、分析環境の整備、定例での伴走を担当しました。

データを確認する食品ECの現場を表現したAI生成イメージ。実際の支援先・人物・分析画面ではありません。
データを確認する食品ECの現場を表現したAI生成イメージ。実際の支援先・人物・分析画面ではありません。

販路ごとに分散していたデータ

食品の製造・販売を行う、従業員十数名の企業。自社ECと複数のモールで販売していましたが、販路ごとに受注や売上のデータが分かれ、全体をまとめて見るためには手作業での集計が必要でした。

担当者が各システムから数字を取り出し、スプレッドシートへ転記して、関数で加工する。この作業がひとりに集中していました。既存の自動化も、取得先サイトの仕様変更によって止まることがありました。

2025年7月に始まった支援で目指したのは、社内のデータを一元管理し、自然な言葉で数字を調べられる環境をつくること。データの連携と整備に加え、社内でどう使うかまで、パートナー企業と分担して進めました。

ECやマーケティングのデータをデータ基盤へ集め、BIとAIにつなぐ初期構想の説明図
初期の構成説明資料。図中のサービスは構想を含み、すべての導入や、当社・本案件の認証取得を示すものではありません。 画像を拡大する ↗

データを集め、分析の前提をそろえる

自社ECとモール各社の受注データを、APIを使ってデータ基盤へ集約。APIを利用できない媒体は、定期的にダウンロードしたデータを取り込む方法で補いました。アクセス解析や検索流入の情報も、同じ基盤で扱えるようにしています。

データは、取得したままの情報を残す層、形式を整える層、分析用にまとめる層の3段階で設計しました。過去データの取り込みと日次更新を整え、毎回ファイルを集め直す負担を減らしています。

EC、広告、アクセス解析などのデータを一つの基盤に集約する仕組みの説明資料
データ連携の考え方を説明した資料。掲載ロゴは、本事例での導入サービス一覧ではありません。 画像を拡大する ↗

集めるだけでは、正しく分析できません。同じ「売上」でも、集計する期間や商品の単位が違えば、数字は一致しなくなります。データの定義と集計方法を整理し、元の管理画面と照合しながら調整しました。

社内データをAIにつなぐ

当初は専用AIの開発も検討しましたが、検証を重ねて、既存の生成AIとデータ基盤を接続する方針へ切り替えました。BigQueryに集めたデータを、MCPという接続の仕組みを通じてClaudeから参照できる構成です。BIダッシュボードも並行して整備しました。

統合したデータとAIを接続し、社内情報をもとに対話できるようにする考え方の説明図
統合データをAIから参照する考え方。実際の支援では、既存の生成AIを接続して利用する設計へ移行しました。 画像を拡大する ↗

見ることのできる情報は、役割ごとに分けています。経営者は全社の数字、販路の担当者は自分の担当範囲を参照する設計です。人件費も、総額は確認できても個人の給与額は見えないようにするなど、情報の扱いを具体的に決めました。

AIへの指示も、分析の目的・期間・集計単位を確認してから処理する形へ調整。返された答えを業務の実感や元データと照合し、ずれがあればデータや指示を見直す作業を、定例で続けました。

使い方と判断の仕方を、研修で共有

2026年1月には、経営陣や営業メンバーなどを対象に、約2時間の研修を実施しました。経営陣には出力をどう読み、判断に使うかを、主担当者には仕組みと運用方法を伝える構成です。

質問を入力する操作だけでなく、AIに伝えるべき業務上の条件も実演しました。たとえば「販売を増やす」という提案に対し、出荷できる数量には限りがあると伝えると、単価やセット販売を検討する方向へ提案が変わります。社内の事情を補いながら、答えを確かめる使い方を共有しました。

今のところ AIの答えを鵜呑みにはしないでも参考にする。で、正しいかどうか見抜くスキルが今のところ結局必要だね、というのが分かりました

ご担当者の発言より

まずは経営陣と主担当者による利用から始めています。主担当者が社内で使い方を伝えられる体制を目指し、研修後も実務での質問や検証を支える進め方にしました。

会議と広告運用に生まれた変化

2026年1月時点の支援記録では、会議や広告運用に次のような変化がありました。

営業会議
その場で数字を確かめながら議論

AIの画面を会議に映し、売上が減少した背景を実績データから確認。商品構成の変更と売上の関係を調べるなど、推測で終わっていた議論を掘り下げられるようになりました。

広告運用
担当者自身が、販路別の指針を作成

AIとの対話を通じて、広告運用の指針を1週間で作成。さらに、その指針どおりに運用できているかを確かめる質問集まで、ご担当者が作っています。

社内共有
AIとのやり取りを、組織で使う資料に

分析や検討の結果を個人のチャットに留めず、文書にまとめて共有する運用を開始。次の施策を考える材料として、社内に残せるようになりました。

この事例で確認できたのは、データの調べ方や会議の進め方の変化です。売上・利益の増加を示す数値成果は、掲載時点の資料では確認できていません。

2025年7月〜2026年1月の支援記録・議事録をもとに構成しています。掲載内容は当時の状況です。冒頭はAI生成イメージ、本文の3点は構想・仕組みを説明した資料です。